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布嘉

「布嘉」と言えば、1代にして巨万の富を蔵し県下第1位の富豪となった佐々木嘉太郎である。彼は天保12年(1841)6月15日金木に生まれ、12歳の時五所川原呉服商三上宇右衛門へ奉公、17歳の時豪商佐々木喜太郎から懇望されて婿養子となり、慶応3年(1867)平井町に分家してささやかな呉服商を開いた。田川の赤堀り渡しを渡り、5里もの道を歩いて鯵ケ沢へ仕入れに行き、商取引をして朝開店までに帰り、新しい物を商う事を心得て、他の商人の追従を許さぬ努力をした。営業年と共に繁盛し、遂に数百万の富を蓄え大邸宅を建てるに至り、明治27年起工し同37年完成、総工費38万円、個人住宅としては東北随一であった。皇族御巡幸の折、御宿となされた事もあり、宝蔵物も沢山あったともいう。悲しい事に昭和19年の大火の折、強風で20メートル以上も飛んだ火舌は町をなめ焼き、悪魔の如く、不運にも開いていた蔵の窓から侵入した。たちまち蔵の中は火の海と化し、「不落」と信じていた家人や住人の前で、豪邸は火を吹き出し、夜を徹して焼け落ちた。御殿とうたわれた「布嘉」も煙と成り果て「灰」となってしまったのである。

布嘉
大正初期の喰川(本町)

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